連帯経済

提供: Solecopedia
移動先: 案内検索

この記事は書きかけ項目です。この記事を加筆・訂正などしてくださる協力者を求めています。

連帯経済(仏économie solidaire、西economía solidaria、葡economia solidária、英solidarity economy)とは、連帯・共存共栄および協力という原則およびその実践に基づいた、新しい開発の枠組みであり、国籍/民族/人種/社会階層/性別に関係なく平等で、市場原理主義や利益ではなく社会福利や持続可能性、社会的・経済的な民主制および多様性を追求する草の根からの実践例の総称である。日本や英語圏ではこの「連帯経済」という表現はまだ一般的に使われていないが、フランス語・イタリア語・スペイン語・ポルトガル語などラテン系言語を使う諸国(フランス、イタリア、スペイン、ケベック州、メキシコ、ブラジル、ベネズエラ、ペルー、アルゼンチンなど)ではこの表現はかなり幅広く使われている。また、英語圏でも米国連帯経済ネットワーク(SEN)やアジア連帯経済アライアンス(AA4SE)などが結成され、連帯経済への関心が近年少しずつ高まっている。

連帯経済では、経済活動を行う際に、その活動を行う労働者や地域社会、さらにはその活動と関わる自然環境を重視する一方で、通常の資本主義経済のように利益の最大化は追求しない。具体的な活動としては、協同組合労働者協同組合(ワーカーズ・コレクティブを含む)、消費者協同組合など)、NPOフェアトレード補完通貨(地域通貨)、倫理的消費連帯金融(NPOバンク)などが含まれる。また、市民社会による経済運営や利潤追求型ではない経済活動を重要視する観点から、市民参加型予算編成オープンソースも連帯経済の構成要素とみなされることがある。

定義

とはいえ、その連帯経済の定義については、さまざまなものがある。以下、その例をいくつか紹介する。

ケベックの社会的経済憲章

ケベックの社会的経済憲章では、連帯経済の実践例を指摘する上で以下5つの重要な原則を紹介している。

(1) 活動目的が単なる利潤追求ではなく、構成員あるいは地域社会への貢献であること

(2) 経済活動が政府から自立していること(注: ここでの「政府」は、中央政府のみならず地方自治体も指す)

(3) その定款および行動指針において、民主的な形での組織の意思決定を規定しており、その際に利用者および労働者の参加が不可欠であること(注: 通常の資本主義企業では一般社員が企業の経営に参加することはできないが、生産協同組合やNPOなどでは構成員による民主的な意思決定が欠かせないことを指す)

(4) 収入および余剰金の分配の際に、資本ではなく労働者を優先する

(5) その活動は構成員参加、エンパワーメントおよび個人や団体の責任という原則に基づく

連帯経済では極端な個人主義ではなく、利他主義および連帯を新しい経済的・社会的文化の中核として採用し、人間間および人間と自然との間に、競争ではなく協力を推進する傾向を持つ [1]/。

アジア連帯経済アライアンス(AA4SE)

連帯経済とは、規制のない市場における利潤の最大化ではなく、人々の需要の充足や環境面での持続可能性を経済活動の目的とする新たな社会経済秩序およびライフスタイルである。ここでは経済および技術の発展は、狭隘な個人の利益の追求ではなく、社会および人間の発展に仕えるものとなる。

連帯経済は、新自由主義資本主義に対する代替案である。この新たな社会経済的秩序よびライフスタイルは、共有、共同責任、互恵性多様性とその尊重、自由、平等、倫理、友愛などの価値を持つ態度や行動を推進する [2]/ 。

ジョン・サミュエル(インド)

「連帯経済」とは、協力と連帯を基盤とし、人間と社会的関係を経済活動の中核に戻す経済活動および規制全てを指すために使われる用語の一つである。倫理面・社会面および環境面の原則を毎日の経済活動に統合する決意を固めた数多くの個人・企業および協同組合による実践例を指す言葉としては、他の用語も使われている。

アジアでは、「民衆経済」(英:People's Economy、「思いやり経済」(英:Compassionate Economy)あるいは「連帯ベースの経済」(英:Solidarity-based economy)などの表現がよく聞かれる。名称はともかくとして連帯経済は、従来とは異なるアプローチで市場に臨み、単に競争や利潤の最大化のみを追求して経済活動を行うべきではないと信じる人たちが取る選択肢として、重要度を増しつつある。そのかわり、経済活動への動機は全人類の生活水準の向上であるべきだ。

[1] Cited in Yvon Poirer. “Views on Solidarity Economy”. Interview conducted in conjunction with the Asian Forum for Solidarity Economy, Phiippines, Oct 2007. Poirer is a Member of the Coordination Committee of the North American Network for Solidarity Economy (NANSE), and Board Member of RIPESS (Intercontinental Network for the Promotion of the Solidarity Economy).

[2] Marcos Arruda. “Views on Solidarity Economy”. Interview conducted in conjunction with the Asian Forum for Solidarity Economy, Phiippines, Oct 2007. Arruda is founder and Director of PACS (Institute of Alternative Policies for Southern Cone of Latin America), Brazil and Member of the Coordination and Facilitation Committee (CFC) of the Alliance for a Responsible, Plural and Solidarity-based Economy (ALOE).

[3] Kyoko Sakuma. ““Views on Solidarity Economy”. Interview conducted in conjunction with the Asian Forum for Solidarity Economy, Phiippines, Oct 2007. Sakuma is the Founder and Executive Director of Sustainability Analysis and Consulting (Belgium).

世界各地の現状

全世界

連帯経済関係者の全世界的ネットワークとしては、以下のものが存在する。

欧州

イタリア

オーストリア

2009年2月に首都ウィーンで会議が開催されている。詳細

スペイン

REAS(オルターナティブ連帯経済ネットワーク、Red de Redes de Economía Alternativa y Solidaria)が全国ネットワークを結成し、ポータルサイトを作成して各国の連帯経済関係の情報を提供している。

ドイツ

前述のように、連帯経済が主にラテン系諸国で盛んな活動であったこともあり、ドイツではあまり連帯経済は話題にはなっていなかったが、ポータルサイトを通じて情報提供を行ったり、イベントを開催したりしている。

北米

メキシコは通常中南米として扱われるが、連帯経済の地域分けにおいてはメキシコは中南米としてのネットワークに参加する一方で、カナダや米国と北米連帯経済ネットワークを構成している。

カナダ

連帯経済はラテン系諸国で運動が盛んという例に漏れず、この国ではケベック州で連帯経済が一番活発である。ただ、この国では連帯経済ではなく社会的経済(英:social economy、仏:économie sociale)という単語が使われることが多い。

米国

2007年6月にアトランタで開催された全米社会フォーラムをきっかけとして米国連帯経済ネットワーク(SEN)が結成され、2009年3月に第1回全米連帯経済フォーラムをマサチューセッツ州アマースト(Amherst)で開催した。2010年6月にデトロイトで開催予定の全米社会フォーラムでも、連帯経済が取り扱われる予定である。

中南米

アルゼンチン

ブラジル

世界社会フォーラムの発祥地であり、もともと草の根レベルで連帯経済が非常に盛んだったが、特に労組出身のルラが大統領に就任した2003年1月以降、官民一体となった連帯経済の発展が見られる。労働雇用省には連帯経済局が存在し、政府としても連帯経済を本格的に推進している。

ベネズエラ

急進左派であるチャベス政権下で、連帯経済についても中小企業開発局によって推進が行われている。

メキシコ

右派政権が続いていることもあり、中央政府からの支援は限られたものになっているが、特に先住民地域や農村地域において労働者協同組合が数多く存在する。また、2010年5月に首都メキシコシティで開催予定の世界社会フォーラムにおいても、連帯経済が取り扱われる予定。

アジア

2007年10月にフィリピンのマニラで第1回アジア連帯経済フォーラムが開催されて以降、2年に1回のペースで同フォーラムが開催されることになった。第2回は2009年11月に東京で開催され、第3回は2011年にマレーシアで開催される予定である。また、アジア連帯経済アライアンス(AA4SE)が結成されており、連帯経済関連の情報を英語で配信している。

インド

インドネシア

韓国

同国では連帯経済ではなく代案経済(대안경제)という表現が使われる傾向にあり、連帯経済の中でも社会的企業が主に取り扱われる傾向があるが、補完通貨フェアトレードチャリティショップなどの分野において目ぼしい事例が散見される。

日本

第2回アジア連帯経済フォーラムが2009年11月に開催されたことから、それまでと比較すると連帯経済に対する関心は比較的高まっているが、ただ一般的に知られるまでには至っていない。日本国内の連帯経済運動としては、消費者協同組合ワーカーズ・コレクティブNPOフェアトレードなどが挙げられる。

フィリピン

第1回アジア連帯経済フォーラムの開催地ということもあり、農村・都市の両方において連帯経済の事例が数多く見られる。

マレーシア

アフリカ

アフリカでも、主に旧フランス領だった国を中心として、連帯経済への関心が高まっている。

歴史と発展

連帯経済という表現が使われ始めたのは1985年頃であり、フランスと南米で同時に使われ始めた。南米ではルイス・ラセト(Luis Razeto、チリ)がこの表現を最初に使ったとされるが、フランスでこの言葉を最初に使ったのが誰かについては定かではない。

とはいえ、連帯経済はある日突然にして、ある学者の思いつきで生まれたものではない。連帯経済という表現が広まる前から、フランスやイタリアなどでは社会的経済(仏économie sociale)と呼ばれる概念が広く使われていた。これはNPO協同組合財団共済組合など社会的な目的も同時に追求する経済活動を総称するものであったが、グローバリゼーションが進むにつれ従来の社会的経済には含まれていなかった新たなテーマも含まれることになった。1997年にはペルーの首都リマでRIPESSの第1回会議が行われ、ここで連帯経済という用語が幅広く使われた。その後2001年より開催されるようになった世界社会フォーラムは、「もう一つの世界は可能だ」(英:Another world is possible)をスローガンとしているが、この中でも「もう一つの世界」の実践例として連帯経済が幅広く紹介されるようになっている。

連帯経済組織の例

参考文献

外部リンク